この記事でわかること
- バス運転手に絶対必要な資格・免許の種類
- 大型二種免許の取得費用・期間・難易度の実態
- 教習所・合宿・一発試験の違いとおすすめルート
- 会社が費用を全額負担してくれる養成制度の仕組み
- 免許取得からバスデビューまでの全ステップ
バス運転手を目指しているけれど、「どんな資格が必要なの?」「免許取得にどれくらいお金と時間がかかるの?」と疑問を持っている人は多い。
結論から言うと、路線バスや高速バスを運転するために絶対に必要な資格は「大型二種免許」だけだ。ただし取得には費用30〜50万円・期間3〜6週間かかるため、事前にしっかり把握しておくことが重要になる。
この記事では、バス運転手に必要な資格の全体像から大型二種免許の取得費用・期間・難易度まで、現場の実態をもとに徹底解説する。
バス運転手に必要な資格一覧
バス運転手になるために必要な資格は、「必須の資格」と「あると有利な資格」の2種類に分かれる。まずは全体像を把握しよう。
| 資格・免許 | 必須/推奨 | 概要 |
|---|---|---|
| 大型二種免許 | 必須 | 路線バス・高速バス・観光バスの運転に不可欠 |
| 中型二種免許 | 条件による | 定員30人以下のマイクロバス・中型バス向け |
| 普通二種免許 | 条件による | ハイヤー・タクシー・10人以下の送迎バス |
| けん引免許 | 推奨(連節バス) | ダブルデッカー連節バス運転時に必要 |
| 運行管理者資格 | 管理職に必要 | バスの安全運行管理・班長・管理職への登竜門 |
| 救命講習修了証 | 入社後に取得 | 万一の乗客急変時の対応力。多くの会社で義務付け |
①大型二種免許(最重要)
路線バス・高速バス・観光バス・貸切バスなど、乗客を有償で運ぶあらゆる大型バスの運転に必須の免許だ。総重量11トン・乗車定員30人を超えるバスを営業目的で運転するには、大型二種免許がなければ一切運転できない。
大型一種免許と混同されがちだが、一種は「荷物の運搬」向け、二種は「乗客の有償輸送」向けという違いがある。バス運転手になるなら、迷わず大型二種免許を取得することが前提となる。
②中型二種免許・普通二種免許
定員30人以下の中型バスや、10人以下の小型送迎バス・ハイヤー運転には、中型二種・普通二種免許が該当する。コミュニティバスや病院送迎バスなど小規模な運行であれば中型二種で対応できるケースもある。
③けん引免許(連節バスに必要)
近年、都市部で導入が進む連節バス(2両連結タイプ)の運転には、大型二種免許に加えてけん引免許が必要だ。神奈川中央交通や京成バスなど一部の事業者で採用されている。将来的に都市型路線バスへのキャリアアップを目指すなら取得しておくと選択肢が広がる。
大型二種免許の取得条件
大型二種免許を取得するには、道路交通法で定められた受験資格を満たす必要がある。条件を事前に確認しておこう。
| 条件項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 年齢 | 満21歳以上 | 2022年法改正前は25歳以上だった時代も |
| 運転経歴 | 普通・中型・大型・大特免許いずれかの取得後3年以上 | 免停期間は算入されない |
| 視力 | 両眼0.8以上、片眼0.5以上 | 矯正(眼鏡・コンタクト)可 |
| 深視力 | 三桿法で平均誤差2cm以内 | 立体視能力の検査。要注意 |
| 色彩識別 | 赤・青・黄の3色を識別できること | 色盲・色弱は要相談 |
| 聴力 | 10mの距離で90dBの警音器音が聞こえること | 補聴器使用可 |
| 運動能力 | 自動車の安全な運転に支障がないこと | 身体障害がある場合は個別審査 |
2022年(令和4年)の法改正で取得条件が緩和
改正前は「3年以上の運転経歴かつ20歳以上」という条件だったが、改正後は「21歳以上かつ通算3年以上」という形に統一された。若い世代がバス業界に入りやすくなっている。
なお、取得条件の中で最も引っかかりやすいのが「深視力」だ。立体視の能力を測る検査で、普段の生活では問題がなくても試験で不合格になるケースがある。視力に不安がある人は事前に眼科や教習所で確認しておくことを強く勧める。
大型二種免許の取得方法と費用比較
大型二種免許を取得する方法は3つある。教習所通学・合宿・一発試験(試験場受験)だ。それぞれの費用・期間・難易度を比較してみよう。
| 取得方法 | 費用目安 | 期間目安 | 難易度 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 教習所通学 | 33〜45万円 | 1〜3ヶ月 | 低〜中 | ★★★★☆ |
| 合宿免許 | 30〜40万円 | 3〜4週間 | 低〜中 | ★★★★★ |
| 一発試験(試験場) | 5〜10万円 | 1〜3ヶ月(受験回数次第) | 高 | ★★☆☆☆ |
①教習所通学(最もスタンダード)
指定自動車教習所に通い、学科教習と技能教習を受けて卒業検定を合格する方法だ。費用は33〜45万円程度。既に大型一種免許を持っている場合は技能教習の時限数が大幅に減るため、費用を抑えられる。
| 所持免許 | 学科教習 | 技能教習 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 普通免許のみ | 19時限 | 34時限 | 40〜50万円 |
| 中型免許 | 19時限 | 28時限 | 35〜45万円 |
| 大型一種免許 | 19時限 | 18時限 | 30〜38万円 |
| 大型一種+けん引 | 19時限 | 16時限 | 28〜35万円 |
通学の場合は自分のペースで通えるため、仕事をしながら取得したい人に向いている。ただし期間が長くなりやすいため、早期取得を目指すなら合宿が有利だ。
②合宿免許(費用・期間のバランスが最良)
合宿免許は教習所の宿泊施設に滞在しながら集中して教習を受ける方法だ。費用は30〜40万円程度で通学より若干安く、期間も最短3〜4週間とスピーディーに取得できる。
合宿中は集中的にカリキュラムをこなすため、運転技術の定着が早い。まとまった休みが取れる人、早くバス運転手になりたい人には合宿免許が最もおすすめのルートだ。
③一発試験(費用は安いが難易度が高い)
運転免許試験場で直接、学科試験と技能試験を受ける方法だ。教習所不要のため費用は5〜10万円程度と格安だが、合格率は20〜30%程度と非常に低い。複数回受験することになれば期間も費用もかさんでしまう。
一発試験で合格できるのは、すでに大型バスの運転経験がある人や、元バス運転手が別会社で再就職する場合など、特殊な事情がある人に限られる。初めてバス業界を目指す人には現実的なルートではない。
会社が費用を負担してくれる「養成制度」の仕組み
バス運転手の資格取得で最も重要な情報の一つが、会社が免許取得費用を全額負担してくれる「養成制度(入社後取得)」だ。人手不足が深刻なバス業界では、多くのバス会社がこの制度を設けている。
①入社後取得型(最も一般的)
バス会社に採用されてから、会社負担で大型二種免許を取得する制度だ。免許取得中も給与が支払われるケースが多く、実質的に無料で大型二種免許を取得できる。
入社後取得型の一般的な流れ
- 求人に応募→書類選考・面接
- 採用内定(免許なし・未経験OK)
- 会社指定の教習所で大型二種免許取得(費用全額会社負担)
- 乗務員研修・路線習得
- 路線バスデビュー
②奨学金型(就職前に取得)
国土交通省や各都道府県が設ける「就職氷河期世代支援」「バス運転手確保対策」などの補助金制度を活用して、入社前に自費で免許取得を支援する仕組みもある。一部の自動車教習所と連携したローン・分割払い対応も増えている。
③教育訓練給付金の活用
大型二種免許の取得は、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金」の対象になる場合がある。対象の教習所に通うことで、教育訓練経費の最大70%が給付される制度だ。ハローワークで事前に申請が必要なため、取得を決めたら早めに確認しておこう。
| 給付金の種類 | 給付率 | 対象者 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 専門実践教育訓練給付金 | 最大70%(年間最大56万円) | 被保険者期間3年以上(初回は2年) | ハローワーク |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40%(上限20万円) | 被保険者期間3年以上(初回は1年) | ハローワーク |
給付金を利用する場合は教習開始の1ヶ月前までにハローワークでキャリアコンサルティングを受ける必要がある。期限を過ぎると給付を受けられなくなるため、スケジュールに注意しよう。
大型二種免許の難易度と合格率
大型二種免許は普通免許と比べると難易度が高い。ただし「難しすぎて受からない」という試験ではなく、しっかりと教習所で練習すれば合格できる内容だ。
①学科試験の難易度
学科試験は95問・合格ライン90点(90%以上)という高い水準が求められる。普通免許の90問・合格ライン90%と似ているが、二種特有の「旅客輸送に関する問題」が追加される。乗客の安全確保・緊急時対応・サービス接客に関する問題が含まれるため、二種特有の勉強が必要になる。
②技能試験の難易度
技能試験が最大の関門だ。全長12m前後の大型バスを操作する試験であるため、車両感覚の習得が最も重要になる。特に以下の項目が難しいとされている。
- S字・クランク:大型車体で狭路を通過する操作
- 後退(バック):長い車体を真っすぐ後退させる技術
- 縦列駐車:バス停への正確な停車(路上試験)
- 路上での乗客扱い:安全確認・乗降対応の実技
合格率の目安
教習所卒業後の試験場での合格率は70〜80%程度。一発試験の場合は20〜30%程度とかなり低い。教習所でしっかり練習して卒業検定を合格すれば、試験場の学科試験のみで取得できる。
けん引免許・運行管理者資格・その他のスキル
大型二種免許の取得後、さらなるキャリアアップのために習得しておきたい資格・スキルを紹介する。
①けん引免許(連節バス対応)
連節バスとは、2両の車体を連結した大型バスで、一部の都市路線で導入されている。この連節バスを運転するには大型二種免許+けん引免許の両方が必要だ。
けん引免許の取得費用は10〜15万円・期間2〜3週間程度。連節バスを導入している事業者(WILLER・神奈川中央交通・京成バスなど)への就職・転職を目指すなら取得を検討しよう。
②運行管理者資格(管理職への登竜門)
運行管理者は、バス会社でドライバーの勤務管理・安全指導・車両管理を行う重要な役職だ。乗合バス5両以上の事業所には運行管理者の選任が義務付けられており、全国的に需要が高い。
運行管理者(旅客)試験は国家試験で、合格率は例年30〜40%程度。年2回(3月・8月)実施される。バス運転手として3〜5年以上の実務経験を積んだあと、管理職を目指すなら取得を検討しよう。
③採用後に必要なスキル・研修
免許取得後、実際にバスに乗務するまでに会社主導の研修が複数ある。主な内容は以下のとおりだ。
| 研修・スキル | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 乗務員基礎研修 | 会社規則・接客マナー・緊急時対応 | 1〜2週間 |
| 路線習熟 | 担当路線の停留所・運行経路の習得 | 2〜4週間 |
| 指導乗務 | 先輩運転士同乗のもとで実際に運転 | 2〜4週間 |
| 救命講習 | AED操作・心肺蘇生法など | 1日(定期更新あり) |
| 接客研修 | 車内放送・乗客への対応・苦情処理 | 1〜2日 |
研修期間を経てひとり立ちするまでの期間は、概ね入社から2〜4ヶ月程度が一般的だ。路線の複雑さ・担当車種・個人の習得スピードによって前後する。
大型二種免許取得からバスデビューまでの全ステップ
ここでは「免許ゼロの状態からバス運転手になるまで」の全ステップを整理する。会社の養成制度を活用する場合と、自分で取得する場合の2パターンで確認しよう。
パターンA会社の養成制度を活用する(おすすめ)
- 求人探し:「大型二種免許取得支援あり」「未経験歓迎」の求人を探す
- 応募・面接:普通免許(MT)・21歳以上・運転経歴3年があればOK
- 採用内定:入社日・教習所のスケジュールを確認
- 教習所へ(会社負担):通学または合宿で大型二種免許を取得(3〜6週間)
- 免許取得完了:試験場で学科試験合格→免許交付
- 乗務員研修:会社内研修・路線習熟・指導乗務(2〜4週間)
- バスデビュー:単独乗務開始(入社からおおよそ3〜5ヶ月後)
パターンB自分で免許取得してから就職する
- ハローワークで給付金申請:教育訓練給付金を使う場合は教習開始1ヶ月前に申請
- 教習所or合宿の申し込み:大型二種免許コースを選択
- 教習・卒業検定:学科19時限+技能18〜34時限(所持免許による)
- 試験場で学科試験受験:合格率70〜80%
- 免許交付
- 就職活動:免許を持っていると書類選考が通りやすくなる
- 入社・研修・バスデビュー
バスの種類別・必要な免許まとめ
一口に「バス運転手」といっても、運転するバスの種類によって必要な免許が異なる。就職先を決める前に確認しておこう。
| バスの種類 | 具体例 | 必要な免許 |
|---|---|---|
| 路線バス(大型) | 市営バス・民営路線バス | 大型二種免許 |
| 高速バス・夜行バス | 長距離高速バス | 大型二種免許 |
| 観光バス・貸切バス | 旅行会社の観光ツアー用 | 大型二種免許 |
| 連節バス | BRT・幹線系統の2両連結バス | 大型二種+けん引免許 |
| 中型路線バス(定員29人以下) | コミュニティバス・郊外小型路線 | 中型二種免許 |
| マイクロバス(定員10人以下) | 病院送迎・企業送迎 | 普通二種免許 |
| 無料シャトルバス(無償輸送) | ショッピングモール・ホテル等 | 大型一種免許でも可 |
路線バスや高速バスを運転するならば大型二種免許一択だ。中型バス・コミュニティバスは中型二種で対応できるが、将来的な路線バスへの転換も見据えると大型二種を取得しておく方が選択肢が広がる。
大型バスの車体サイズの目安
- 全長:約10.5〜12m(連節バスは約18m)
- 全幅:約2.5m
- 全高:約3.1〜3.4m(2階建ては約4m)
- 定員:50〜80名程度(立席含む)
普通車と比べると全長が約6〜7倍。車両感覚の習得が免許取得の最大のポイントになる。
大型二種免許の取得でよくある失敗・注意点
大型二種免許の取得を目指す際に、実際に失敗したり思わぬ壁にぶつかったりするケースを事前に把握しておこう。
注意①深視力検査で何度も引っかかる
大型二種免許の取得で最も多い躓きポイントが深視力(立体視)の検査だ。3本の棒が前後に動く装置を使い、3本が横一列に並んだと感じた瞬間にボタンを押す。平均誤差が2cm以内でないと不合格になる。
普段の生活では全く問題ない人でも、検査環境や緊張で結果が悪くなることがある。対策としては、眼科でプリズム矯正を相談する・検査前に目を休める・リラックスして検査に臨むことが有効だ。
注意②技能教習のオーバー時限で費用が膨らむ
教習所では規定時限を超えた場合、1時限あたり6,000〜10,000円の追加料金が発生する。大型車の操作は普通車と感覚が全く異なるため、特に車幅感覚・後退・縦列駐車でオーバー時限が出やすい。
オーバーを防ぐには「イメージトレーニング」が有効だ。実車練習前にコースを歩いて確認し、ハンドル操作・ミラー確認のイメージを頭に入れておくと習得が早まる。
注意③学科試験の二種特有問題を軽視する
「普通免許を持っているから学科は余裕」と思って準備不足で試験に臨み、合格点の90点に届かないケースがある。二種の学科試験には旅客輸送・接客マナー・緊急時対応などバス運転手特有の問題が含まれる。必ず二種対応の問題集で繰り返し練習しておこう。
注意④養成制度の「縛り期間」を確認せずに入社する
会社負担で大型二種免許を取得した場合、一定期間(多くは2〜3年)の在籍義務が設けられているケースが多い。縛り期間内に退職すると免許取得費用の返還を求められる場合があるため、入社前に労働条件通知書や誓約書の内容を必ず確認しよう。
よくある質問(FAQ)
この記事の監修者・運営者
監修
中村圭介
株式会社myteams 代表。人材・求人メディア業界にてマーケティング責任者・取締役として8年以上のキャリアを持つ。ドライバー職の求人・転職市場に精通し、現場の実態調査・監修を担当。
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